「国際貿易って、具体的に何を勉強するの?」「FITTの資格を取得すると、貿易会社に就職できる?」このような疑問を持っている方向けに、国際貿易プログラムやFITTについて分かりやすく説明します。
ギリギリの英語力で入学しても授業についていくのが難しく、テストに合格できないということもあります。そんなことにならないよう「国際貿易プログラム」について、理解しておくことが肝心です。
- 国際貿易の資格、FITTについて
- 国際貿易プログラムの勉強を成功させる秘訣
- お薦めの国際貿易プログラム
色々なプログラムの中から内容をしっかり理解して、国際貿易プログラムを選ぶことが出来ます。勉強した成果を就職活動でアピールすることができるので、参考にしてみてください。
国際貿易資格FITTについて

国際貿易を勉強するプログラムで取得できる、FITT(フィット)という資格について、以下の6つのポイントから説明します。
- FITTについて
- FITTで勉強すること
- FTTで取得できる資格
- FITT受講のための英語力
- FITT受講のための期間
- FITT受講のための授業料
それでは順番に詳しく説明していきます。
FITTについて
FITT(Forum for International Trade Training)は、カナダ政府系の付属機関として1992年に発足しました。現在は非営利団体として、国際ビジネスや貿易に関するトレーニングや資料、教育に関して提供する団体です。世界的な国際貿易機関のIATTO(International Association of Trade Training Organization)から、カナダ代表として認定されている機関です。
FITTで勉強すること
FITTが提供するカリキュラムに沿って学校で勉強します。提供されている科目の例をは、以下のとおりです。
- Feasibility of International Trade (国際貿易の可能性について)
新しい貿易の機会が実行可能かどうか、見込み利益が、費用やリスクより上回るかの見極めの仕方を勉強します。 - International Market Entry Strategies (国際マーケット入門戦略)
リサーチをしたり、効果的な戦略、効率的な実行方法を考えます。 - Global Value Chain (国際流通機能)
物流に関しての費用やリスクを減らし効率性を高めていくには、どうしたら良いかを学びます。 - Products and Services for a Global Market (国際市場での製品やサービス)
国際市場で製品やサービスを売る為に、どんな規制があるか、などを勉強します。 - International Trade Finance (国際金融)
輸入、輸出をする場合の支払い方法、リスクの減らし方、製品やサービスの流れについて学びます。 - International Sales & Marketing (国際販売とマーケティング)
商品やサービスを世界中のどこでも効果的に販売、マーケティングすることを勉強します。
FITTが提供する科目と、それぞれの学校独自の科目も追加してプログラムが構成されています。
FITTで取得できる資格
FITTで取得できる資格には、以下の3つがあります。
- 3科目修了後に取得できる「Certificate (サーティフィケイト)」
- 6科目終了後に取得できる「Diploma (ディプロマ)」
- ディプロマを取得後に1年間貿易実務を経験で取得できる「CITP(Certified International Trade Professional)」
FITTの難易度
各科目のテストの合格基準は65%です。テストは、すべてオンラインで行われ、教科書の使用が可能です。選択問題ではなく、英語での記述形式です。もし合格できない場合、90日に以内に再テストを受けなければなりません。再テストには約100ドルの追試費用が必要です。
FITT受講のための英語力
あくまで目安ですが、TOEIC700点くらいあれば授業についていけるでしょう。学校の入学条件によっては、TOEIC700点くらいの実力より低い学校もあります。ただし、ギリギリの英語力で入学すれば内容の理解が追いつかずに、勉強する期間が長くなる可能性もあることを知っておいてください。
逆に英語力を心配しすぎて、入学に迷う時間が長くなるのは避けたいです。早めに入学することで授業に段々と慣れてくるため、自分のペースが掴めるようになります。
FITT受講のための期間
1科目を修了するのに約1ヶ月かかります。学校は、FITTからのディプロマが取得できる6科目を最大の期間にしています。座学の期間+Co-opプログラムを付けることも可能です。学校によって2ヶ月~3ヶ月といった期間もあります。この場合は1科目ずつの修了証がもらえます。
FITT受講のための授業料
6ヶ月で、約1万ドル(カナダドル)が目安です。どの学校も、入学金、授業料、教科書代が含まれます。FITTの科目は、1科目ごとにテストに合格しないと修了証はもらえません。もし、テストが不合格だった場合、数百ドルの再テスト料(学校によって変化する)がかかります。
カナダ留学でFITT取得をオススメする理由

カナダ留学で国際貿易の資格、FITTを取得を、オススメする理由は3つです。
- FITTはカナダでしか取得できない
- 就活の際に資格取得をアピールできる
- インターンシップも経験できる
それぞれの理由について説明していきます。
理由1: FITTはカナダでしか取得できない
FITTはカナダで誕生した団体であり、カナダでしか取得できません。カナダ留学ならではの資格とも言えるでしょう。
カナダの公立学校には貿易プログラムはありません。公立の学校へ行って諸条件を満たせば、卒業後に働けるビザ(PGWP)がもらえます。「FITTプログラム卒業後、働けるビザをもらえますか?」という質問が多いので、PGWPビザがほしい方は覚えておきましょう。
理由2: 就活の際に資格取得をアピールできる
学校の修了証と共に、FITTの修了証も履歴書に資格として記載できます。カナダ留学中の成果をアピールできるでしょう。
理由3: インターンシップも経験できる
学校のプログラムにもよりますが、有給または無給の「インターンシッププログラム」を付けることができます。座学で得た知識が実際の仕事で、どのように活かされているかを学ぶと共に、英語環境の職場体験ができます。どの学校も基本的に、自分で仕事を探します。英語での仕事探しも勉強の一環です。
FITT資格を取得できるオススメ3校

FITTの資格取得ができる学校は、カナダでもバンクーバーにしかありません。オススメの学校3校をご紹介します。
Arbutus College (アビュータスカレッジ)


実際の仕事で学んだ知識を発揮するために、ビジネス英語+専門知識の組み合わせで学びます。組み合わせは以下の3通りです。
- 6ヶ月、ビジネスと組み合わせた12ヶ月
- 6ヶ月座学+6ヶ月Co-op(インターンシップ)
- 12ヶ月座学+12ヶ月Co-op(インターンシップ)
約1ヶ月に1度スタート日があり、自分の予定に合わせて留学の時期を選びやすいです。大学のように時間割が各個人によって違い、バラバラです。提携の語学学校で英語力を上げてから入学することも可能です。
Canadian College (カナディアンカレッジ)


英語力がない場合は、姉妹校のESLで英語力を上げてから国際貿易プログラムの受講が可能です。1年の留学期間内なら、ESLの授業料を途中で国際貿易プログラムへ移行できるのも魅力です。手数料も一切かかりません。その他、下記の組み合わせもあります。
- 3ヶ月、6ヶ月、6ヶ月座学+Co-opの合計12ヶ月
- ビジネス+Co-opの24ヶ月
24ヶ月のプログラムは座学とCo-opが交互の順番になっており、年4回のスタートで大学のように時間割が各個人によって違います。

Sprott Shaw College (スプロットショーカレッジ)


老舗の専門学校で、ビジネス、ヘルスケア、保育士など多彩なプログラムが特徴です。国際貿易プログラムは、下記4つのプログラムから選べます。
- 25週間
- 25週間座学+4週間実習
- ビジネスと組み合わせて55週間
- 55週間+4週間実習
実習は無給ですが、学校のCo-opコーディネーターから紹介してもらうことが可能です。月〜金曜日の午前中に固定の時間帯で授業が行われます。スタート日は年に何回かありますが人数に達しない場合、開講しないためご注意ください。
Sprott Shaw Collegeの国際貿易プログラムは、2025年度は一時的に休止となっています。
国際貿易の勉強ができるオススメ2校

FITTの資格は取得できませんが、学校独自の国際貿易プログラムを提供している学校もあります。物流を中心にカリキュラムが組まれており、オススメだと思う2校を紹介します。
SELC Career College (セルクキャリアカレッジ)


SELCは姉妹校のESLのイメージの方が強いですが、最近は専門学校のプログラムも充実してきています。Supply Chain (物流)プログラムも新設されました。CITT (Canadian International Trade Tribunal) からの5科目の修了証が発行されます。下記2つのプログラムがあります。
- 24週間座学+24週間Co-op (インターンシップ)
- 48週間座学+48週間Co-op (インターンシップ)」
月〜木曜日の17時-21時が授業時間で、年8回の開講日があります。
VanWest College (バンウエストカレッジ)


国際貿易に関して、原料から商品やサービスが消費者の手に届くまでのプロセスを学んでいきます。プログラムは以下の2つがあります。
- 8ヶ月座学+6カ月Co-op (インターンシップ)
※ 8週間の休みが2回あり、全部で18ヶ月 - 14ヶ月座学+12カ月Co-op (インターンシップ)
※ 8週間の休みが3回あり、全部で32ヶ月
月〜金曜日の15時〜21時30分 (金曜日は17時45分まで)の時間帯で、スタート日は年2回です。姉妹校のESLで英語力を上げてから、国際貿易マネージメントプログラムに進むことができます。
FITT資格取得のメリット

FITT資格を取得するメリットは、以下の3つです。
- やり遂げたことが自信につながる
- 英語力も伸びる
- 貿易に興味が持てる
それぞれ解説します。
やり遂げたことが自信につながる
英語で教科書を読んでいったり、みんなの前で英語でプレゼンテーションをするのは、一生懸命やればやるほど自信に繋がっていきます。自信が付くことによって、就職時や仕事面でも役立つときが来るでしょう。
英語力も伸びる
ディプロマを取得する頃には、英語を「読む能力」「聞く能力」が、ものすごく伸びたと実感できます。しっかりと先生の英語を聞き取って理解し、教科書を読めないと取得することが難しいからです。資格取得+英語力をアピールできます。
貿易に興味が持てる
「国際貿易ってどんなのかな?」と何も分からず勉強を始めた方でも、実務経験があって勉強をする方でも、それぞれ貿易の面白さを見つけることができます。授業を聞いている内に深堀りができるため、経験者でも新たな発見があるでしょう。
FITT資格取得のデメリット

FITT資格取得には、以下のデメリットもあります。
- FITT資格取得がカナダでの就職事情に有利という訳ではない
- 勉強が忙しい
- 英語力が伸びる訳ではない
それぞれ解説していきます。
FITT資格取得がカナダでの就職事情に有利という訳ではない
カナダのみならず、日本の就活でも絶対的な切り札にはなりません。ただし、面接時に「貿易に興味があって資格取得のために、一生懸命に勉強してきた」というアピールにはなります。FITT資格は、楽をして取得できる資格ではないため、目的を達成するための努力はプラスに捉えられるかもしれません。
勉強が忙しい
思っている以上に勉強が忙しくて、働いている時間など取れないという人もいます。まずは最初の1ヶ月は様子を見ましょう。専門学校に行ったら、「アルバイトもしたい色々な所に友達と出かけたい」など、カナダ留学中にやりたいことは沢山あると思います。ですが、無理をすると勉強にも生活にも響いてきますので、勉強や生活のリズムが掴めてからにしましょう。
英語力が劇的に伸びる訳ではない
専門学校では、英語で国際貿易の勉強をします。国際貿易の知識を得ることが第一の目的で、英語の上達が主目的ではありません。英語での授業を行うため、おまけとして英語力は伸びますが、英語の上達を主目的とする語学学校とは伸びる早さやバランスは違います。とはいえ、ビジネス英語を国際貿易プログラムの必修科目にしている学校が多いので、全く伸びない訳ではありません。
カナダ留学でFITT資格取得の失敗しないポイント

FITT資格取得で失敗しないポイントは、以下の3つです。
- 英語力を上げる
- 予算を十分に確保
- 先生やクラスメートと協力する
それぞれ説明していきます。
1.英語力を上げる
英語力がないと課題を期間内に提出するのも一苦労です。そして国際貿易関連の、インターンシップをする際でも、英語力がないと思うような職種に就くことはできません。あせらずに語学学校で英語力を上げてから、国際貿易プログラムに進むようにしましょう。
中には途中で休学をして、語学学校に戻らないとならない場合もあります。留学期間のこともありますが、資格取得にこだわらずに1科目だけや3ヶ月だけ受講することを考えてみましょう。
2.予算を十分に確保
英語力を上げるために、語学学校の授業料が余分に発生することもあります。アルバイトをしないと、カナダ滞在中の生活費などが心許ないという状態になり、勉強に集中できません。
学生ビザでカナダに来ている皆さんは、勉強が第一の目的です。勉強に集中できるように、使わなくても十分な予算を確保しておきましょう。
3.先生やクラスメートと協力する
教科書だけで勉強をしていると、どうしてもストレスが溜まってしまいます。学校の友達、先生、学校のスタッフに遠慮せずに相談しましょう。一緒に勉強して分からない部分を教え合ったりして、大変な勉強を乗り切っていくことが大切です。
カナダ留学でFITT受講の感想

国際貿易資格のFITTプログラムを受講された方の感想です。
「FITT Diploma」です。資格をとれたことは私にとって大きな自信につながりました。日本ではまだまだ認知されていないものですが就職活動についても大きな手助けになるものでした。
留学すると決めたときはなんとなく海外で暮らしたいな、英語ができるようになりたいな、という思いでした。しかし、少し英語ができてくるようになると次は英語が使った仕事がしたい!と思うようになり、国際貿易のコースを取り始めてからは、貿易の面白さを知り、帰国後は貿易関係の仕事がしたいと新たな目標を見つけました。
毎授業、教科書を1チャプター(約40ページ)進むので、予習復習が大変でした。大量の英語を読まないといけないことに加え、マーケティングやリサーチのクラスではグループワークが求められ毎回必死でこなしていました。授業は先生がとてもわかりやすく例を使って説明してくれるので、無知識で始めた私でも理解することができました。
- 貿易コースは如何でしたか?
-
貿易コースは、貿易の際のお金や書類の動きから、国際的な会社のマネジメント方法まで貿易に関するありとあらゆることを勉強します。専門的な単語も多く、かなり難易度は高いですが、その分語彙力も増え、リーディング力が伸びます。
- どうして留学しようと思われましたか?
-
留学したのは、英語も貿易も両方勉強したかったから。
カナダ留学でFITT取得して就職を有利にしよう

FITTは、国際貿易を仕事にしたい方にとっては強みになる資格です。ただし、カナダでしか取得できないため留学して、専門学校にて各種プログラムを受けて取得していきます。期間も様々あり、Co-poとの組み合わせも可能です。ご自身の目的、予算、期間などを明確にしておき、しっかり事前準備をしてください。
今回ご紹介したオススメの学校やメリット・デメリット、失敗させないポイントなどを参考にして頂き、より良い留学生活を実現させましょう。FITTを取得できれば、英語力と国際貿易に関する知識が身に付いた証にもなりますので、カナダ留学の成果として就職に活かしてください。